以前のブログ、5月3日と7日の“カフェの基本・・・Ⅰ”と言うタイトルの中で「エスプレッソに必ず砂糖を入れて飲んでください、その理由を後日ブログで説明します。」の一文をいれ、その説明がすっかり遅くなってしまいました。
これからの長い文章は私の勝手な自論と推測も混ざりますが、決して的外れな要約ではありません。 最後まで読んで頂ければ幸いです。
2部構成にしています。 尚、意見のある方もどうぞコメントしてください。
さて最近、街でもエスプレッソという言葉はよく耳にしますが、そもそもエスプレッソ・コーヒーとはどのようなものか、日本ではまだ正確にはほとんど知られていないのが現状です。
それでは、まずイタリアにおいてコーヒー文化を語るのに切っても切れないバール〔BAR〕と呼ばれるコーヒー専門店に焦点を当ててエスプレッソの魅力をひも解いて行きましょう。
イタリアでは毎日バールに通うと言う人で一日、一人平均3~5杯のエスプレッソやカプチーノなどを、飲むと言われています。もともとイタリアでは朝食を家でとる習慣が少なく、ほとんどの人が朝、出勤前に街なかにあるバールで、コーヒー片手にブリオッシュ又はコルネット(甘いパン)やトラメッジィーノ(サンドイッチ)などを食べるのが一般的です。
でも、何故一日に3~5杯もと言うと、まずは朝食、午前の休憩、正午のランチ、夕食前、そして夕食後に一日の締めくくりとしてエスプレッソをという様に、日々の生活において、様々な場面でバールを利用するためこのような数字になるのです。
これはあくまでも平均的な数字ですので、これより多い人もいれば、少ない人もいます。
しかし一人当たりのコーヒー消費量が、我々よりも多いのは確実です。
そして何より、イタリア国内ではバールの数が非常に多く、“石を投げればバールに当たる”とまで言われる程、街の至る所にあります。
それほど人々の生活の中にバールは無くてはならないものとして、根付いています。
それではイタリア人が何故これ程までバールでカフェを飲むようになったのか?
これは私の推測ですが、第一にカフェ1杯の値段が安いことが挙げられます。
あっ! その前に、イタリアでは基本的にバールでのコーヒーは、店内バンコ(カウンター)での立ち飲みです。もちろん座席もありますが、バンコでの立ち飲みに比べて店内の座席、外のテラス席と、バンコから離れるに比例してどんどん値段は高くなり、3倍から高い所では5倍近く請求されることもあります。
ですから、朝はもちろん、休憩でも立ち飲みが一般的なスタイルですが、テラス席で新聞を読んだり、おしゃべりをしたりして、ゆったりと贅沢な時間を過ごす人もたくさんいます。
そこで先程の料金の話に戻りますが、バンコでの立ち飲みの場合、エスプレッソが日本円で約100円~130円程度です。日に4~5回バールに足を運んだとしても、400~500円程度で済むので、日本での喫茶店1回分位の値段にしかなりません。
そして今も昔も変わらずに人々にバールが支持されている理由のひとつに、社交場としての役割を担っており、300年程前に始めてバールが出来て以来、当時は政治や経済、芸術や哲学の議論、又は日常生活の情報交換の場として親しまれ、現在でもやはりコミュニケーションの場としての役割は変わっていません。このような背景もあり、自然とバールの利用回数も増えコーヒー文化も栄え、今日まで脈々と受け継がれてきたのではないでしょうか。
もう一つ最大の理由は、“エスプレッソ”という特殊なコーヒーそのものにあると思われます。
このコーヒーは専用のエスプレッソ・マシンを使って短時間(20秒~30秒以内)で抽出され、コーヒーの旨味を最大限に引き出したまさにコーヒーの王様と言っても過言ではありません。
味わいは深く、アロマ(香り)は強く芳醇、しかも飲み終えた後のアフターテイスト(余韻)は他に類を見ない、すばらしいものがあります。
このところ日本でもCMで“アロマ”と言う単語がよく使われるようになりましたが、本来コーヒー(特にエスプレッソ)には、とても大切な特徴で、イタリアの人たちもこのアフターテイストを楽しんでいるのだと私は思っています。アロマは喉の奥から鼻孔をくすぐり、脳へと直接刺激を伝え、カフェインは仕事やストレスで疲れた頭や、心をリラックスさせたり、リフレッシュさせる効果があることが、近年の研究でも証明されています。
このようにイタリアでは日々のストレス発散や、日常生活の充電の場として、とても有効的かつ社交的にバールが利用され、今日までのコーヒー文化を築いてきたのではないかと思います。
スローライフが生まれたイタリアに習い、我々ももっと生活にゆとりを持ってコーヒーを楽しみましょう。
さて、次回Vol.2では、いよいよ砂糖の話をじっくりとさせて頂きます。
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