思い出の”カチュッコ” |

カチュッコをベースにした魚介のパスタ。
トスカーナ地方リヴォルノには”カチュッコ”という郷土料理があります。
4~5種類の魚を使って作る、イタリア版ブイヤベースと思って頂ければ結構です。
カチュッコはこの魚から出た濃厚な出汁(スープ)を頂く料理です。
家庭によって、このカチュッコを使って様々な料理をつくります。
魚介のパスタは勿論の事、リゾットやこれをベースにした様々なズッパ(スープ)等々。
ただ南フランス・プロヴァンス地方のブイヤベースとの違いは、トスカーナのカチュッコには魚のみを使い、甲殻類や貝類は入れません。。。
以前、トスカーナではなく、ミラノで嫁と2人で入ったトラットリアでの事。
そこは静かな通りに面した家族経営の店、地元の人達の行き付けのようで、皆楽しそうに食事をしていた。
給仕はそこの娘さんがしており、お勧めを聞くと本日仕入れた魚の”カチュッコ”とのことなのでそれを注文した。
前菜やパスタなどを食べながら待つこと40分程、銅鍋に入れて運ばれてきた熱々のカチュッコ、優に3人分はあろうかと思うほどの量・・・『食べきれるか~?』
カチュッコをベースに魚介がたっぷり!!!
しかし食べた瞬間、うまい!美味すぎる! 2人とも先ほどの杞憂は何処へやら。
ペロリと平らげ、文字通り鍋被り状態で一滴のスープも残さず完食!
奥から娘さんが鍋を下げながら
娘さん・・・「如何でしたか?」
私・・・「本当に最高に美味しかったです!」
娘さん・・・「ありが・・・・・(鍋を凝視中)・・・・・。」
私・・・「・・・・。」
娘さん・・・「スープも全部飲んだの?」
私・・・「ハイッ!」
娘さん・・・「お父~さ~ん 」・・・鍋を持って厨房に走っていきました。
娘さんが戻って来て、「今まででこんなお客さんは初めてよ!」と驚きと称賛を頂き、今でも忘れられないとても幸せな思い出となっています。
とまぁ、このような思い出のおかげで、カチュッコ作りには尚更気合が入るのです。
ここまで書いて、店のメニューには時々しか魚介パスタが無いのは如何なものか???本当に困ったものです。